旧家再生研究所 Produced by 住友林業ホームテック > 木の家を守る技術-旧家(古民家)に生きる、リフォーム最新技術-
旧家再生研究所は、旧家(古民家)の実態に即した耐震、省エネ、バリアフリーなどのリフォーム技術を研究開発しています。研究は、茨城県つくば市の筑波研究学園都市にある「住友林業筑波研究所」で政府、自治体、大学などの研究機関や他企業の研究所の協力も得ながら進められ、そこで生まれた最新の技術が旧家(古民家)リフォームにも生かされています。
耐震リフォームにはさまざまな技術があり、その家の状況に応じて適切な方法が選ばれる。
ここでは、その中の代表的なものをご紹介しよう。
制震技術 スミリンCEM工法
伝統構法用制震技術 制震ダンパー
木造住宅の耐力や剛性を高めるオリジナル制震装置。エネルギー吸収ダンパー
油圧ダンパーを用いて、地震の震動エネルギーを吸収し、建物の揺れを小さくする制震工法。阪神淡路大震災の揺れを想定した実験では、未装着の建物に比べて、約40%揺れを減衰することが実証されている。震度7の地震のとき、建物を震度5の震動に抑えることができる※。
※建物の状況により異なる。
実物大の実験をはじめ、さまざまな研究を通して、さらなる性能の向上を目指している。
エネルギー吸収ダンパーの一例です。
耐震技術 スミリンREP工法
壁の補強技術
剛節ビームにより、和室の真壁に低コストで耐力壁を設置。剛節ビーム耐力壁
日本の伝統的な和風建物で、構造躯体として作られた木造軸組が、そのまま化粧材として表面に露出する壁を真壁と言う。従来は、真壁に耐力壁を新設する場合、柱を水平方向につなぐ長押(なげし)の撤去などに手間がかかるため、避けられる傾向にあったが、この剛節ビームを柱間に設置することで、真壁を耐力壁にして建物をバランスよく補強することが容易になった。
■ 剛節ビーム耐力壁の設置基本形
壁の大きさや揺れの種類など、さまざまな条件のもと、剛節ビーム耐力壁の実験を繰り返している。
強さと同時に採光もガラスブロック耐力壁
ガラスブロック耐力壁は、耐力壁用として開発されたアルミ製枠にガラスブロックユニットを積み上げる特殊な工法。壁を増やすことで窓が取れなくなる場合や、奥まった廊下を明るくしたい場合などに有効だ。
広さと開口と強度を実現門型フレーム耐力壁
広い開口部の左右の柱に添え柱を、上部に添え梁を設け、その仕口部を構造用合板やアラミド繊維シートで補強し、横から水平荷重をしっかり受け止める工法。
大開口、大空間を実現する方法のひとつだ。
金物補強/柱・梁・土台の補強技術
腐朽した柱を補強根継工法
腐朽、劣化した柱の部分を撤去し、その部分に集成材をエポキシ樹脂接着剤で接着して置き換え、さらにその継手部分の両端に添え板を接着することで1本ものと同等の強度を持たせる工法。
基礎と柱を強固に一体化スミリンJEM(ジェム)工法
大地震の際、古い木造住宅は、柱が土台から引き抜かれて倒壊するケースがある。
柱と土台、基礎の接合が不十分な場合は、既存の基礎の表面にエポキシ樹脂接着剤で金物を接着し、ホールダウンボルトで緊結する工法で、強固に一体化する。
柱を外して空間を広く合成接着梁
柱の撤去を伴う際の梁の補強工法。既存の梁の下から集成材をエポキシ樹脂接着剤で接着し、更にその側面に合板を接着し、既存の梁と一体化させ、強度を高める。
既存梁の下から集成材を抱き合わせ、エポキシ樹脂接着剤で接着し、ボルト等で止め付ける。
側面にも合板を接着し、釘もしくはビス止めして圧締。既存の梁と一体化し、強度をアップ。
側面にも合板を接着し、釘もしくはビス止めして圧締。
既存の梁と一体化し、強度をアップ。
基礎の補強技術
無筋コンクリートの基礎を強くスミリンARC(アーク)工法
無筋コンクリート基礎の表面に、帯鋼やアラミド繊維シートをエポキシ樹脂接着剤で接着し、鉄筋コンクリート基礎と同等以上の強度を確保する工法。アラミド繊維シートは、高速道路の柱脚補強にも採用されている。
実験の様子。
基礎表面に帯鋼を接着。仕上げモルタルを塗って完成。
基礎表面に帯鋼を接着。
仕上げモルタルを塗って完成。
最適な補強方法を見つけ出す現況調査&耐震診断
経験豊富なリフォームエンジニアが、家の状況を詳細に調査。現状の平面図の作成、耐震診断ソフトを使った耐震力の計算などによって、適材適所の耐震方法を探り出す。こうした現状を見極める力も耐震リフォームに大切な技術のひとつだ。
実験で厚さ45mmのダブル筋かいと同等の強度(壁倍率4倍相当)を実証。
多彩なオリジナル技術が、特許や(一財)日本建築防災協会等の認定を取得しています。
■スミリンREP(レップ)工法
スミリンARC(アーク)工法 | 日本建築防災協会技術評価取得、DPA-住技-3-1(変更・更新)、特許第4033354号、特許第4033355号、特許第4093493号 |
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門型フレーム耐力壁 | 日本建築防災協会技術評価取得、DPA-住技-15-1(変更・更新)、合板補強:特許第4417743号、第4716498号、アラミド繊維補強:特許第5574311号 |
ガラスブロック耐力壁 | 日本建築防災協会技術評価取得、DPA-住技-16-1(変更・更新)、特許第4616776号、特許第5224745号、特許第5242019号 |
スミリンJEM(ジェム)工法 | 日本建築防災協会技術評価取得、DPA-住林-25-1(変更・更新)、特許第5238325号 |
剛節ビーム耐力壁 | 日本建築防災協会技術評価取得、DPA-住技-47、特許第5596338号 |
■スミリンCEM(セム)工法
エネルギー吸収ダンパー | 特許第5541729号 |
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制震ダンパーS型 | 日本建築防災協会技術評価取得 DPA-住技-30-1(変更・追加・更新)、特許第5541728号 |
■スミリンS工法
レンコン金物 | 特許第5004605号 |
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吊りサポート工法 | 特許第5334707号 |
■伝統構法の補強方法
伝統構法における建物の補強方法 | 特許第5594863号 |
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■その他
モルタル止水工法 | 特許第4222577号 |
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※ これらの技術は、住友林業筑波研究所と、住友林業ホームテックが共同で開発した技術です。
※ 建防協とは、(一財)日本建築防災協会の略称です。