旧家再生研究所 Produced by 住友林業ホームテック > 旧家ものがたり > Vol.07『米蔵再生』
「かつては、
年貢米をおさめる米蔵だったんです」
広島県呉市、雄大な山々を背に、
堂々と佇む一軒の蔵をみつけた。眺めていると、
「ここ、昔は米蔵だったんですよ」とご主人が
教えてくれた。100年ほど前、ご主人の祖父のまた
祖父にあたる人が改築して以来、老朽化がすすんで
いたのだと言う。壊してしまうという話も出たが、
なんとか残せないものかと思っていたのだそうだ。
「柱の数がすごいでしょう」
ご主人は、部屋を眺めながら語った。
蔵の中に入ると、まず目を引くのは無数の柱。
「米蔵だった名残でしょうね」とご主人。人ひとり
通れないほどの間隔で立てられた柱は、米を狙う泥棒
対策だったのではないかと語る。また、1階から2階
まで1本の柱で貫かれているというこだわりぶり。
「構造的にめずらしいでしょう。知り合いからも
残したらどうかと提案されました」と言う。
1階
間隔の狭い柱などめずらしい構造を見せながら、明るく過ごしやすい空間へ。
2階
たっぷりと収納できる物置スペースは2階部分に。
外観(リフォーム前)
外観(リフォーム後)
老朽化がすすんでいた外壁も、趣はそのままにたくましく生まれ変わった。
階段
圧迫感が少ないデザインで、広い空間を演出。
足下の窓
窓からのぞく石の風景は奥様のお気に入り。