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Vol.05
『民宿の記憶』
岐阜県飛騨市 M様邸 築約113年


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その大きな古民家は、
かつて民宿だったと言う。

緑ゆたかな飛騨の山間をゆくと、
目指す古民家が見えてきた。
真っ白い壁に、濃い茶色の柱、
どこかなつかしさを感じさせる佇まい。
「どうぞ、いらっしゃい」親しみやすい雰囲気の
男性が玄関先から顔をのぞかせた。
かつてこの家で民宿を営んでいたのだそうだ。


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「お客様優先の間取りで、
家族にとっては住みづらかったんです」

以前は一人で住んでいたと言うこの旧家。息子さんの
定年を機に一緒に住むことを決意したものの
そのまま移り住むには問題も多かったのだとか。
「民宿用の間取りだったでしょう。客室が多かったた
め居間や台所が狭くて、家族には合わなかったんです」
しかも築約120年。断熱性や水回りなどに不安もあり、
リフォームに踏み切ったのだと教えてくれた。


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「この土地の常識を
ひっくり返してしまいました」

「民宿から暮らしやすい家に変えるためには、常識に
とらわれないリフォームが必要でした」。
寒さが厳しいこの地方では、水回りは南向きにする
のが常識なのだが、あえて別の方角に設けた。
低かった天井を高く見せるために吹抜けを
設けるだけでなく、床を低くした。そうして、
旧家の良さを残しながら、大胆な空間が生まれた。


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「無駄と思えるくらいの広さ。
これが気持ちいいんです」

今でもアユ釣りなどで泊まりにくるお客様をもてなす
ことも多いため、玄関には特にこだわったと言う。
広々とした土間に、大きな吹抜け。そこに横たわる
のは、年月を経て深みを増したいくつもの梁。
「武家屋敷みたいでしょう」と嬉しそうに笑う。
お客様も家族も本当にくつろげる空間を
手に入れたようだ。

岐阜県飛騨市 M様邸のリフォームデータ

所在地:岐阜県飛騨市 築後年数:約113年 総工事床面積:462㎡ 工事期間:8ヶ月

民宿の趣と住まいとしての機能性を、見事に両立。

玄関から応接室、居間にかけて風通しと動線をスムーズに。
プライベート空間と応接空間を明確に区別した。

応接間

写真:応接間

家の中心にある応接間は、風通しと動線をスムーズにするために四方に戸を設けた。

玄関(リフォーム前)

写真:玄関(リフォーム前)

玄関(リフォーム後)

写真:玄関(リフォーム後)

狭かった玄関スペースは、吹抜けに包まれたダイナミックな空間に生まれ変わった。

廊下

写真:廊下

1階の廊下は、卓球台が置けるほどの広さ。朝食スペースとしてお客様にも好評。

トイレ

写真:トイレ

土地の常識を覆し南向きでない方角にトイレを設けた。

お風呂

写真:お風呂

ゆったりと入れる広めのお風呂。

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